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きみは赤ちゃん



数日前だったか、麻生太郎財務相が少子高齢化で社会保障費が増えていることに対して「子どもを産まないのが問題」と発言して、物議を醸し出した。


この方の大口たたきは今に始まったことじゃないので別段驚かないが、毎回毎回この手の発言が取りざたされるたび、正直うんざりする。少子高齢化問題について、「少子」だけを狙い撃ちした、高齢者に対するご機嫌取りのリップサービス。(選挙が近いですからね)


社会が「安心して子どもを産み育てられる」仕組みになってないのだもの。
それが理解できない大人が いかに多いかってこと。
社会だけじゃない、職場でも、地域でも、家庭内でも、日本じゃ子育てをしている家庭(特に母親)は、驚くほど閉鎖的な環境に置かれているってことを、みんな見て見ぬフリしてるじゃないか。


ベビーカーは邪魔だとか言って目の敵にしてさー。
ベビーカーを「母親が楽するだけの道具」だと言ってのけた人もいたからね。
保育園が近くにあると「子どもの声がうるさい」とかさー。
虐待のニュースが出るたび、「ったく母親は何してたんだか」とメディアは書き立てるしさー。(この場合父親を責める人が皆無なのも不思議な話)
やってらンないよっ!


……と若い世代が思うのも 無理ない話なのではないでしょうか。
この国で子どもを産み育てるのって、ほんと大変だよ。
この本を読んでみて欲しい。
すべてありのままに書かれてる。
これはねー、ぜひ男の人に読んで欲しい。
父になろうとしてる人は、これを読んで覚悟を決めてもらいたい。
そして、自分の子の子育てには、何の協力も関与もしてこなかった今の麻生さん世代の男性も、これを読んで(読みゃしないだろうが)とっくり反省してもらいたい。
日本で子どもを産み育てるってことが、女にとってどれほど大変なものか、みんな知って!!!頼むから!!!



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赤ちゃんカワイイ。赤ちゃんのいる生活。赤ちゃんがいて幸せ・・・
という内容のエッセイ本なら、掃いて捨てるほどある。
でもこの本は、そういう類の本ではないから安心して読めます。


川上未映子という作家をすごいなーと思うのは、自分の思いをちゃんと言葉にできること。作家さんだから当たり前なのかもしれないけれど、何気なく書かれた文章に感嘆してしまうのだ。例えばこのような↓


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そんなたいへんな日々に飛びこむまえに、「ふたりでもっとちゃんと作り上げなければならなかったものがあるんじゃないか」と思うとものすごく不安になって、そうかと思えば、「いや、そんなのは意味がなくて、人生はお手本なしの応用のみよ、こうして出会って赤ちゃんを迎えられるということだけで、もうじゅうぶんじゃないか」というつよい気持ちにもなったり、とにかく両方の気持ちがマーブル模様になって、そんなふうにゆれていると、おなかのなかから赤ちゃんが、元気よくぼんぼーんと蹴るのである。…(P.106)
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こういう気持ちって、誰もが感じたはずなんだけど、忘れちゃうものなんだよね。
文章にしてもらって初めて、はっと思い出すというか…。


あと夫がオムツを替えたりしていると、なぜか母親である自分だけが「すみません感」を持ってしまうことについて。
この感覚を著者は意識して排除した。
つまり、夫のする育児に対して「ごめんね」も「すみません」も金輪際口にしないし、ぜったいに思わないこと。だって
ふたりの赤ちゃんなのだから。


これは私もそうだった! 読んでいて思わずプッと笑ってしまったよ。
そして私もそう開き直ったら、ずいぶんと気が楽になったのを覚えている。


これは、個々の夫婦によって違うかもしれない。
たまーに「夫に台所に入られるのがイヤ」という人がいるけど、そういう人はダメかもしれない。
でも、そういう人は苦労するよ。
夫が料理ができないのを肯定してしまうと、いろんな局面で自分の首をしめることになると思うんだけどなあ。
p.220あたりからの記述は、肩身が狭いダンナさんもいるのでは?


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…それから、「おなじくらい」やってるっていう発想がそもそもおかしいと思わないのだろうか? こっちはおなかを切ってオニを生んでからこっち、まったく眠っていないのにくわえてホルモンの崩れで頭が半分おかしくなっているのに、おなじくらいって、それはいったいどうなんだろう。こっちは1年近くもおなかで人間を大きくして、切腹して、生んで、そして不眠不休で世話をして、いまもこんな状態で仕事までしてるのやから、ほかのことはぜんぶ男(あべちゃん)がするくらいで、ちょうどなんじゃないだろうか。ちがうのだろうか。わたしまちがっているのだろうか。っていうか、それ以外に、いったい男に「なにができる」というのだろう。わたしはまじでそう思った。すべて、なにもかものすべてを男にむこう2年間やってもらってもまだ足りないくらいだ……わたしの産後クライシスは、このようにくる日もくる日もときに激しく爆発しつづけた。(p.221)
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この辺からずーっと素晴らしい文章が続く。
子育てならぬ「孤育て」を経験したことのある女性なら、泣いてしまうかもしれない。
保育園に預けて 仕事をすること。
自分の中にじゅうぶんすぎるほどの葛藤があるのに「預けられてかわいそう」とか言う周囲の人たち。(でもその人たちは誰一人助けてくれる気などないのだ)


孤独だった。
しんどかった。
まじ限界だった。
身体的にも、精神的にも、社会的にも……。


でも、赤ちゃんがカワイイから、乗り越えられた。
ほんと、それだけの理由だった。



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案ずるより生むが易し、という言葉がある。
そしてその言葉を女が作り、ひろめたのなら話はわかるけれど、男発信だったとしたらまじむかつくな、というくらいには、生むとか案ずるとか易いとかむずかしいとかに敏感にならざるをえないのが、妊娠&出産を経験し、そして産後を生きるわたしたちだ。生むの、ぜんぜん易しくねえよ! 案じさせろや! っていうのもこれ、じつにたしかな実感である。(p.271)
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p.278の「朝。抱っこしたままで…」から始まる文章は、電車の中で読まないほうが良さそうです。
号泣しちゃうから。




やっぱりね、こういった女性のしんどさを男たちが気づいて社会のしくみを変えていかないと、いつまでたっても少子化問題は解決しないと思うよ麻生さん。







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