小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代 (新潮新書)



こと料理に関しては「簡単・ラク・時短」という言葉が大好きな私。
今でこそいろんなレシピが出ているけど、私が結婚した頃はクックパッドなんかなかったからね。
料理本を買ってきて見よう見まねで作るしかなかった。


その頃の料理本は、とにかく厚いし重いし取っつきにくいしで、
若い子(当時の私をも含む)は、あれを見るだけで料理するのがイヤになるんじゃないかと思ったものよ。
「和食は〜でなくてはならぬ」みたいな威圧感があったし。


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そんな時に出会った小林カツ代さんは、衝撃的だったなー。


「こうでなくてもいいんですよ〜」「難しくないんですよ〜」と言いながら、臨機応変にアレンジした、それでいて美味しいスピード料理を教えてくれた。


働く女性が何を望んでいるか、生活を良い方向に持っていくにはどうしたらいいか、女だけがキリキリするのではなく、家族すべてが食を大切にする方向に持っていくにはどうしたらいいか…。
カツ代レシピは、そんな思いであふれていた。


「毎日のことなんだから100点じゃなくてもいいんですよ〜。80点でいいんです」


この言葉に、働く母はどれだけ励まされたか。



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デパ地下で惣菜を買う女性に眉をひそめる人たちに対して「本当に時間がなくて、それでも殺伐とした食卓にだけはしたくないと思ってる人が、時々はおそうざい売り場を利用してもいいではありませんか」
(『働く女性のキッチンライフ』だいわ文庫、2014年)(p.86)
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……(涙)。


料理だけでなく、反戦と護憲の立場に立ち、福祉や教育にも携わった。
夫を「主人」とは呼ばず、仕事相手に自分を「先生」とは呼ばせなかった。
料理の鉄人に出た時にも、「主婦の代表」と呼ばれるのを拒否した。
常に人と対等でありたいと願っていたし、家庭料理は中華やフランス料理と並ぶものだと主張した。

本当に、一本筋の通った言論人だったんだよね、カツ代さんて。


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著者の分析によれば、昭和40年代生まれの私たちの世代は、料理に苦手意識を感じる人が多いのだそうだ。
というのは、私たちの母親世代が、一人で背負った家事をこなすのに精一杯で子どもたちを台所から遠ざけた、あるいは、自分が強制された台所修業の煩わしさを娘には味あわせたくないという思いもあった、などというのがその理由。


な〜るほど。



その時代の女性の社会でのあり方と 料理研究家の背景がよく分かる本だった。
やはり「家族みんながご飯を作れる」ってのは、これからの家庭のスタイルになっていくのだろう。


介護と保育の予算を削って、女を家に閉じ込めて無償でそれをやらせたいと思っている安部さんは、苦々しく思うかもしれないけれど。




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