熊本の地震。
いつも美味しいお米を送ってくださる「ムスメの斜め上の大人」さんの安否は確認した。皆さん無事だと。
熊本の方が一日も早く元の生活に戻れますように。



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久々に小説で泣いた。
わたしの数少ない既読小説の中で、まちがいなく上位3に入る。入れたい。


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対岸の彼女 (文春文庫)


小夜子
この二人の目線で、2つの違う時代を物語は交互に追っていく。


どちらにも葵は出てくるが、始めはあまりのキャラの違いに、本当に同一人物なのかどうか戸惑ってしまった。
高校時代の葵は、いじめられっ子で臆病で人間関係をうまく築けない子。
いっぽう、ベンチャー企業の社長になった葵は、何事にもポジティブで行動力のある人。


実はこの葵の変化がこの小説の「カギ」であり、題名の「対岸の」の意味でもある。
…というようなことを、他の方の書評を見て知りました。 Σ(ノ≧ڡ≦)てへぺろ☆


この小説にはもう一人、重要な人物がいる。
魚子と書いてナナコ
葵を変えたのが、このナナコです。


ナナコってのがもう、最高に素敵な子なの。
例えばこんな↓

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「…だってあたしさ、ぜんぜんこわくないんだ、そんなの。無視もスカート切りも、悪口も上履き隠しも、ほんと、ぜーんぜんこわくないの。そんなとこにあたしの大切なものはないし」(p.91)
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ナナコと出会ったことで、葵は今までいた息苦しい狭い世界から踏み出せた。
そしてさらに、一人で行った南アジアでの旅行先でケチな強盗に騙されたことがキッカケで、葵の人生は決定的に変化した。


そして今度は、その葵が小夜子を変える。
子どもを抱えた専業主婦という殻に閉じこもって葛藤していた小夜子は、夫に見下されながらも仕事に喜びを見出した。そして、一度は仕事を諦めかけたが、ラストは何かに突き動かされるように葵の元へ戻っていく…。


あかりの運動会で、葵が撮っていたビデオのあるシーン。
葵の立ち上げた「プラチナ・プラネット」という会社の名前が意味するもの。
ママ友の世界と、高校時代の女友だちとの世界。夫と姑だけの世界。既視感。
「ひとりぼっち恐怖症」という幻想。


高校生だったナナコと葵が起こした事件は、心中未遂という物騒なものではあったけれど、それがネガティブでなく、現在の葵の生きる原動力になっているところがスバラシイ。
ナナコは葵にとって、人生を変えるほどの影響力をもった子だった。
南アジアでの嫌な経験も、ナナコという存在が葵の中にあったからこそ、葛藤のすえ「信じるんだ、そう決めたんだ。だからこわくない」という結論に達したのだろう。



読めば読むほど、ああ、そういう意味だったのかと気づくことも多く、奥が深い。


こんなすごい小説を書く人はどんな人なんだろうと著者をググってみたら、今の直属の上司にそっくりでした。←どうでもいい情報




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自分を変えるほどの人に、これまでの人生で何人出会ったかなと考えてみる。
ぱっと思いつくだけで5人いる。


仕事関係では3人。


まず私を一から育ててくれたMさん
社会人としてのマナーや仕事との向き合い方。
やんちゃでバカだった新人の私が、あれから何十年も仕事を続けてこられたのは、このMさんのおかげ。
嬉しいことに、今でもお付き合いあります。あ、メールしなきゃ。


次にSさん
結婚という形態にこだわらず、今でもたぶん事実婚を続けておられる。
カッコ良くて、知識が豊富で、職場でも憧れの的だった。
仕事で行き詰まった時、Sさんならこういう時どうするかなとまず考える。


最後にKさん
お客さんとの信頼を築くコミュニケーション能力は、この人以上の人を知らない。
今の私の口調(仕事上での)とか人との接し方は、すべてKさんを参考にしたもの。
抜群に頭がキレて、仕事もできて、今は遠く北の地で障がいのあるお子さんと優しいダンナさんと暮らしておられる。


私生活では、小学校5、6年の時の担任だった名取先生
クラスでも地味で目立たない存在だった私が、毎時間書記として、黒板にみんなの意見をまとめたものを書く仕事を与えられ、あの時から私は、自分自身にすごく自信がもてたような気がする。
常に睡眠不足で、切手収集が趣味で、ばかやろう!が口癖だった先生。
名取先生みたいな先生に、ムスメも出会えたらいいな。


最後は、うちの母
良くも悪くも、一番影響を受けてるのはこの人だ。
子どもの人生は子どものもの。母親が足かせにならないよう気をつける。過保護にしない。子どもの前で自分の居る狭い世界の人たちの悪口を言わない。子どもとの約束は必ず守る。
…もうほんと、いろんなことを学んだワ。
いつも心がけているのは、「母のようにはならない」ってこと。






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コメント

  1. かもめ | -

    感動しました

    対岸の彼女、読みました。
    本当に、読んで良かったと思う素敵な本でした。
    出会いによって人が変わり、また新たな出会いで今度は人を変える。
    そこに希望があって、小夜子がそれに気づいて戻っていくラストに、ありがとう〜と心の中で叫んでいました。
    電気虫さん、ありがとうございます。私にとって電気虫さんは、とっても素敵な女性の先輩です。

    ( 06:21 )

  2. ざざ改め電気羊 | -

    >かもめさんへ♪

    良かったぁ、感動していただけて。
    角田光代さんはこの本が初めてだったんですけど、文体が素直ですごく読みやすいですよね。
    それに鬱々としている女性の心理描写が上手いなーと。

    家庭環境が複雑なナナコのその後が気になります。
    幸せになってくれてるといいのだけれど。

    最近忙しくてまともに本も読めていないんで
    ストレスたまりまくりです(笑)。
    またいい本あったら載せますよー。

    参院選まであとちょっとなので、気を引き締めていきましょうね。
    (マスコミはほんと下らないことばっかり!)

      

    ( 07:58 )

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