『パンツの面目 ふんどしの沽券』米原万里(筑摩書房



知らなかった。
ワイシャツのすそがやたら長くて、側面にスリットが入っている理由を。


ヨーロッパの紳士たちは、つい最近まで猿股などはかないできた。
どうしていたかというと、ワイシャツの前身頃の下端と後ろ身頃の下端で股を覆っていたという。
ワイシャツのあの形は、ズボンの中で上手くナニをくるんと包むためだった。
詳しくは3章の「ルパシカの黄ばんだ下端」を参照。


ハイヒールの起源を知った時以来の衝撃である。
その起源とは、あまりにも汚い話なので書くのもためらわれるがもちろん書くが、時は17世紀のフランス。
その頃フランスは、まだ下水の処理設備が十分でなく、多くの一般市民は窓から直接下に向かって糞尿を投げ捨てていた。
石畳の道路に落ちたをうっかり踏まないよう考え出されたのが、踵の高いハイヒールというわけ。
男性のマントも同じような由来。
ついでに言うと、サンルーフや日傘も。
パリに行った際には、その辺のことも頭に入れて石畳を歩いてみると面白いかもしれません。
ベルサイユ宮殿の有名な庭園の噴水広場も、その昔は格好の捨て場だったらしいから。
これ、マジメな本当の話デス。



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えーっと、これを読むと分かること。
世界中の人が毎日下着を取り替え、排便のあとに紙で尻を拭いているかというと、そんなことはない…ということ。
日本人の感覚で外を旅すると、ビックリすることばかりだ。
先のおフランスでは、毎日下着を取りかえないかわりにビデを使うんだし、前にも書いた気がするが、紙で拭くのを当然の風習としているのは、世界の人口の3分の一に過ぎないのである。
女性が座って用を足すのだって、常識でも何でもなく、アフリカじゃみんな立って済ませていた。
だから私は、中国のある宿で、ドアのないトイレにこちらを向きしゃがんでいる中国人小姐が、りんごを齧りつつ向かい合っている人と楽しくお喋りながら用を足している光景を見ても、さほど驚かなかった。
ただ、忘れられないだけです。



最近は健康のためとかで、若い女の子の間でもフンドシが流行っているそうだが、フンドシと言えばやはり=男らしさ、男性性の象徴というイメージがある。
坂本龍馬が西郷隆盛のフンドシを借りようとして、奥方が新しいのを用意しようとしたところそれを断り、西郷の使い古しを所望した…という有名な話も紹介されている。


筆者は、フンドシがなぜ日本民族の精神的支柱となり得たかを、こう締めくくっている。
フンドシはもともと熱帯民族の特有物であり、南方起源のものである。
日本特有の個性、ユニークさは各方面から流れ着き住み着いたさまざまな種族混合にこそある。
先進文明は北方起源で入ってきたのに対し、それに対するコンプレックスが、南方起源のフンドシへのこだわりを生んだのではないか、と。


他にも「イエス・キリストのパンツ」の章など、なかなか面白く読めた。
雑学にもぜひ。

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