これは、なかなかに面白かった。
個人的に好きなタイプの本。
複雑でややこしい状況をいかにうまくミスのないよう進めていくか。
その方法論としてのチェックリスト


『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』アトゥール・ガワンデ著(晋遊舎)



著者は外科医。この本では、手術におけるミスを減らすため、悪戦苦闘しながら医療現場にチェックリストの導入を試みる過程を書いている。
また「チェックリスト」が他の分野でどのように活用され、どれほどの効率を上げているかを、事例とともに分かりやすく紹介している。

例えば、、、
  ・高層ビルを安全に建てる方法
  ・爆撃機を安全に飛ばす方法(効果絶大であったこのチェックリストは、ハガキ大のカードに収まるくらい短く簡潔だったとな!)
  ・毎日100〜300人の客に最高レベルの料理を提供する方法



あのデイビッド・リー・ロス(ヴァン・ヘイレンのね)が、コンサートの契約書に必ず入れた項目というのが面白い。

「楽屋にボウル一杯のM&M'sチョコレートを用意すること。ただし茶色のM&M'sはすべて取り除いておくこと。もし違反があった場合はコンサートを中止し、バンドには報酬を満額支払うこと」


…これで実際にコンサートが中止になったこともあるそうだ(笑)。
ヴァン・ヘイレンは地方の巡業に初めて巨大セットを持ち込んだロックバンドだ。(大型トラック9台くらい)
この巨大セットを確実に搬入し、安全にセットするためには、電話帳並みにぶ厚い契約書が必要だった。そこでロスは、M&M'Sの項目を その中に試金石として入れておいた。楽屋でもし茶色のM&M'Sを見つけたら、全てを点検し直すこと! 
すると、必ず問題が見つかるのだという。


……というようなエピソードなど。



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昔、子ども関連での集まりでの雑談中に、あるお母さんが、看護師さんをしている他のお母さんに向かって
「看護師ってさぁ〜医者の言うことだけ聞いてやってればいいんでしょ
と言ったことがある。
あまりの暴言に、側にいた私は一瞬耳を疑った。
ちなみに暴言を吐いたお母さんは、高学歴専業主婦。家事力ゼロ(←余計な情報
看護師のお母さんは、困ったように
「うーん…。そうでもないんだけどね」
と答えていたっけ。
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祖父が入院した時の光景を思い出す。

私はまだ小学生だった。
祖父は、重症個室に入れられ、身体に何本もの管を通されていた。
その管にくっついている何種類もの複雑怪奇な器械。
アラームが鳴ると看護師さんが来て、実に手際よく管をチェックしていく。
意識がなく、自分で身体を動かすことができないから、床ずれにならないよう数時間ごとに看護師さんが身体の向きを変えていく。
管や電極を引っかけることなく、静かに確実に。
痰も自分で出せないから、ちょくちょく吸引する。その都度人工呼吸器の酸素の量を調節し、祖父の身体に十分酸素が行き渡ったか、モニターで確認していく。
血栓を防ぐ薬、血圧を上げる薬、その他のいろんな薬が時間数mlの単位で、祖父の身体に注入される。
管を入れてあるところの消毒、口の中の歯磨き、いつもきれいにしてある寝衣やシーツ。


あれだけの管が入っているのだから、どこからか菌が入って感染することなど容易いように思えた。
というか、あれだけの複雑な器械や点滴や管が、何のトラブルもなく動いていて、祖父の容態が少しずつ回復に向かっている…ということが奇跡のように感じた。
どうして何十人もいる看護師さんやお医者さんは、誰一人戸惑うことなく、器械の操作やケアや観察ができるのだろう。
……本当に不思議だったんだよね。



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…(中略)テレビドラマなどでは、人工呼吸と心臓マッサージを数回すれば、水を吐いて息を吹き返す、というのがお約束だ。だが、現実は違う。一人の少女を救うために、何十人ものスタッフが数千もの手順を正しく遂行する必要がある。空気が入らないように人工心肺のチューブを繋ぐ。チューブ、切開された胸、頭蓋骨内の髄液、それぞれの無菌状態を保つ。数々の繊細な機械を正常に動作させ続ける。一つ一つの手順がどれも本当に難しい。その上、それらが正しい順序で一つも欠かさずに行われるように指揮しつつ、不測の事態には柔軟に対応しなければならない。……
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病院のICU(集中治療室)では、患者一人あたり、一日に平均178もの手順が必要だと言われている。
この手順は、どれもが難しく、それぞれにリスクがある。
しかし、瀕死の患者を助けるためには、正しい知識を身につけ、178もの手順を毎日正しく行わなければならないのだ。




「医者の言うことだけ〜」と言い放った暴言母は、何も分かっちゃいない。
私、その場で横からビシッと言ってやれば良かった。(激しく後悔)
あの、祖父の病室でみた光景、目に見えない無数の手順が繰り返し行われていた光景のことを。


あなたが小バカにした母さんは、あなたの想像もつかないような高度なレベルの仕事をしてるんですよ、と。
もしあなたが瀕死の状態で救急車で病院に運ばれたとしても、そこには医者の言うことだけやってる看護師さんなど一人もいなくて、正しい知識とエビデンスに基づいた正しい手順で、あなたを瀕死の状態から救おうと必死に頑張っているスタッフしかいないはずですよ、と。




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今日は寒い。・・・・・10℃。
思わず夕飯はカレー鍋にしてしまった(苦笑)。
映画『ミザリー』観る。
キャシー・ベイツの怪演に尽きる。


「高齢者は早く死ね」とブログに書いた経産省の官僚の話。
これ、店の冷蔵庫に入った写真をツイッターに流す若者と同じ感覚でいるんだろうね。「ウチら」的な。
内容はともかく、野球を「やきう」と書いたり、マスコミを「ますごみ」と書いたり。
よく見かけるんだけどあれは何?個性?(購入を「こうぬう」、ニュアンスを「ぬあんす」とかもうやめれ)










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